b型肝炎のウイルスキャリアの経過

b型肝炎の感染を考えるとき、常に頭に入れておかなくてはならないのが、b型肝炎にはキャリアが存在するということです。キャリアは常に肝臓内部でウイルスの増殖が行われているため、血液中にb型肝炎のウイルスが存在しているのです。

ここでは、ウイルスキャリアがどのように経過してくのか等について詳しく紹介しています。

キャリアの割合はどれぐらいか

日本でのb型肝炎ウイルスのキャリアの割合は、人口のおよそ1から2パーセント程度とされています。キャリアのおよそ7割から8割の人は、感染させる危険性はあっても、自分自身が発症するということはなく、一生、何もないまま過ごすことができますが、ウイルスは体の中に潜んでいる状態です。

こうした人は、無症候性キャリアあるいは、ヘルシーキャリアと呼ばれていますが、一方で、残りの2割から3割の人は、程度の差こそあれ、肝臓病になり病院に受診しているというのが現状です。

感染するとどうなるのか

b型肝炎のウイルスに感染した場合、その後の経過は大きく分けると、急性肝炎あるいは慢性肝炎をたどることになります。免疫応答が健康な状態の成人が水平感染により、初めて感染した場合には、2割から3割の人が急性肝炎を発症し、残りの人たちは、症状のない不顕性肝炎として経過していきます。

しかし、6ヶ月以内にHBs抗原というウイルスの外皮についているたんぱくが消失するため、無症候性キャリアになるのが一般的です。水平感染の多くは、b型肝炎のウイルスは制圧されますが、近年、新しい遺伝子型のb型肝炎のウイルスが海外から入ってきており、急性肝炎の発症後に治りきらずにキャリア化する例も増えてきています。

この場合、慢性肝炎に移行するケースもありますが、一部、急性肝炎から劇症化することもあります。HBs抗原が6ヶ月しても消失せずに、6ヶ月間持続的に陽性を示した場合、慢性肝炎となり、b型肝炎のウイルスキャリアと呼ばれるのが一般的です。

主に、b型肝炎のウイルスに感染している人の体液や血液を介して感染します。そして、成人の水平感染以外の経路として、母子からの垂直感染があります。HBe抗原が陽性の母親から感染していた場合には、9割近くがキャリアとなります。

ただし、現在は予防措置がとられているため、新たな感染者というのは、日本ではほとんどないというのが実情です。

慢性肝炎の初期経過

b型肝炎ウイルスに感染すると、その後の経過は大きく分けるとHBe抗原が陽性の無症候性キャリア期と免疫排除期、HBe抗体が陽性の無症候性キャリア、つまり、非活動性キャリア期、再活性化期、回復期に分けることができます。

HBe抗原が陽性の無症候性キャリア期というのは、母子感染により免疫が未熟な乳幼児の肝細胞にウイルスがすみついている状態です。15歳ぐらいまでは、この状態が持続します。HBV-DNA量つまりウイルス量が高値を示しますが、免疫機能が構築されていないため、肝炎があってもごくごく軽症です。

そして、免疫排除期は、免疫機能が確立される時期で、15歳から35歳ぐらいでこの現象が起こります。このとき、肝細胞が破壊されて肝炎になります。肝障害を呈しながらb型肝炎ウイルスに感染した肝細胞が徐々に排除されていくので、免疫寛容期に比べるとウイルス量はやや低下します。

この時期に、激しい肝炎が生じると肝不全になることもあるので注意が必要です。激しい肝炎が生じた場合に、HBe抗原が陰性化して、宿主のHBe抗体が陰性化するセロコンバージョンという状態が認められることもあります。

セロコンバージョンが起きると、ウイルスの増殖力は弱くなります。この時期は、肝組織の炎症が高度ですが、肝臓の線維化に関しては様々な様相を呈しますので、きちんとした検査が必要です。

慢性肝炎の中期から終盤の経過

非活動性キャリア期は、b型肝炎ウイルスに対する宿主免疫が優位になり、HBe抗原が陰性、HBe抗体が陽性のセロコンバージョンが持続し、肝炎も沈静化した時期です。

免疫排除期にウイルスを攻撃した結果、増殖しないウイルスに遺伝子変異することをセロコンバージョンといいますが、それに伴いウイルス量は基準値未満に持続的に低下していきます。再活性化期に移行しない限りは、肝硬変や肝がんのリスクは低下したと考えてよく、一般的にb型肝炎の臨床的寛解とみなされます。

これは、b型肝炎ウイルスに感染しているものの、臨床的には比較的心配ないということです。この時期の肝組織は、炎症は少なく、肝臓の線維化は、軽度の場合が主です。非活動性のb型肝炎ウイルスキャリアを経過した後、一部の人はHBs抗原が消失して、HBs抗体が陽性の回復期に入ります。

ここまでくると、血中のウイルスは検出されない例が多いです。そのため、肝炎も起きておらず、臨床的治癒の状態となります。しかし、近年、生体部分肝移植の経過観察などの結果から、本人の健康上は問題ないものの、ごく微量ではありますが、b型肝炎ウイルスに持続して感染しており、血液中にもごくわずかなウイルスが存在し続けていることが明らかになっています。

そのため、再活性化しないかを長い目で見ていくことが大事で、経過観察を続けていくことが大事です。この時期になると肝組織の炎症は少なく、肝臓の線維化も軽度です。

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再活性化に注意

非活動性キャリアとなり、臨床的寛解となっても、2割から3割の人が、自然経過や免疫抑制剤が誘因となって、b型肝炎ウイルスが再増殖し肝炎を引き起こします。このとき、HBe抗原が陰性のままでウイルス量は、中程度の範囲内で変動することがほとんどです。

この時期は肝硬変や肝がんのリスクがかなり高まっている時なので、経過観察を怠らずに、きちんと治療を受けることが大切になります。また、肝組織の炎症は高度になり、肝臓の線維化は軽度から重度まで様々です。そして、近年、がん治療などで化学療法を行う場合は、事前にウイルスキャリアであるかどうかの検査がおこなわれます。

キャリアの場合には、b型肝炎ウイルスの再活性化を防ぐために、核酸アナログ製剤などで先手を打ち、ウイルス量を減らしてから治療にのぞむなどの対応をおこなっています。そのため、肝臓専門医とも相談しながらがん治療を進めていくことが大事です。

参考情報《b型肝炎訴訟
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